「ソレ、おじさんにも頂戴。」
「ぁ、すんません、偶々榛葉から貰ったモンなんでこれしか」
棒付の飴玉を咥え煙草の様に口の端に寄せながら軽く頭を下げた戌井が言い終わる前に
上着を掴んでぐっと引き寄せその甘い唇に噛みついた。
「―――ッ」
飴玉を奪う風でいて味わっているのは驚きに固まる戌井の口腔。
冬の夜 冷えた空気に二人の呼吸が白く浮かんで消えていく様を目の端で捉えながら
絡み付く舌が温かいと思って傍と気が付く
「ちょ、な に!?」
「ソレ、って言ったよね?」
にやりと笑って濡れた唇を舐めた南坂の仕草が妙に色っぽくて頬が熱くなったが薄闇では
分からないだろうと平常心を取り戻した振りをして駅への道を再び歩き出した戌井の二の腕を掴んで
耳に口元を押し付け囁いた。
「俺を玲ちゃんのものにしてよ、おじさんお買い得だよ?」

13.12.05