12.01.03
3日間に亘って行われたゲームも無事終了。
打ち上げ宴会の最中無意識に泳いだ視線の先に見えたその姿
(ぁ、また…)
卯佐美の白々しい絡みに戸惑う竜介は多分昼間の出来事を
思い出して目の前の男と視線も合わせられないのだろう。
(…中汰困ってるじゃないか…)
手にあったビールをテーブルへ置いて立ち上がろうとした時
少し離れた位置で酌をしていた寅乃が卯佐美の背後からその頭を叩いた

暫く3人で騒いだあと仲汰が何かに気が付いたように視線を上げ目が合うと
少しばつが悪そうに、それでも柔らかくふわりと笑った。


12.01.12
あの出来事から半月くらいは経っただろうか?
頭の隅に未だ残る不可解な気持ちを引き摺ったままの西方。
落ち着いた雰囲気のカフェへ入ると奥の方で右手をひらり
と上げた男のもとへと歩みを進めた。
「…わざわざ会って話したいとか…一体なんだよ?」
不機嫌を隠す事も無く卯佐美を一瞥して席に着く
「機嫌悪いな…って事はまだ気になって仕方ないんだ?」
笑いながら言ってくる卯佐美にイラつきながら
オーダーを伺いに来た店員に「エスプレッソ」と告げて話しを続ける。
「だから、用件はなんだよ?」
「別に、俺はお前と喧嘩をしに来たわけじゃないんだけど」
まろやかな卯佐美の口調と声色はいつでも余裕があり
時として非常に癇に障った。
「俺はアンタみたいに察しがいい方じゃないから言われないとわから――」
「自分で気が付かないのか?」
言葉を被せてきた男は業とらしい笑みを浮かべながら
目の前の男をじっと見つめる。
「気が付かない…って、何を……?」
「俺がゲイじゃないの知ってるだろ」
「当たり前だ、何年の付き合いだと思って…?」
置かれたエスプレッソの香りが段々と熱かった思考を冷ましていく
「あの日、俺が竜介に手を出したから内心焦ったんだろ?」
「は?」
「『鞍替えなのか?』って聞いてきたから確信したんだけど…自覚は無しか」
「アンタさっきから!まるで俺が―――…」
中汰に恋してるみたいな言い方、そう紡ごうとして顔が一気に熱くなった。
「…最悪…っ」
「竜介あんなに可愛いのに酷い事言うな」
「違…っ
「俺に気が付かれた事が、だろう?」
「判ってんなら構うなよ、バカ」
耳まで染め上げて頭を抱える西方は、数年ぶりに訪れたこの感情の相手が
同性である事に不思議と何の戸惑いも無かった。