「ぅわ、どうやって動いてるんだろ…?」
あきらかに人の手で作り出された蝶が瓶の中で舞う様を
興味深く観察する黒髪の青年。
まだ幼さの強く残る面差しと様子に
自然と笑みを零した連れの青年は幾らか年上であろう事が窺える。
「これって売り物かな?」
「どう、かな?値札付いて無いし置いてあるだけかもね」
「そ  っか」
少し残念そうに呟いた。
「竜介はこういうの好きなのか?」
「ぇ、あ ゃ、ぅーん」
好きかと問われて考え込む竜介と呼ばれた青年は
静かになった蝶を起こす様にまた瓶の蓋を指先で叩く。
「不思議だな、って意味で興味は強いけどよくわかんないです。」
「ふぅん?」
「西方さんはパワーストーンのどこが好きですか?」
蝶から視線を移され視線が合った。
一拍置いてゆっくりと静かに響くテノール
「宝石より身近でビーズより親しみやすいところかな。」
彼の買い物に付き合い、大型百貨店の一部に店舗を構える
この天然石専門店へ来た二人。
「まぁ、削り方や扱いの差、なんだけどね」
「西方さんが着けてるの、合ってると思います。
 色とか雰囲気が…特に藍色とか」
「ありがとう、じゃあ、今日は竜介にも選んで貰おうかな」
元々、傷が出来た天然石を外すついでに組み替えて
作り直そうと予定していたブレスレットを指差した。
「ぇ、や、や、僕、石詳しくないですよっ」
「こういうのはさ、直感でいいんだって …駄目かな?」
やわらかい、厭味のないねだり口調
「……ず、ずるいです、そんな風に言われたら断れないですよ」
照れて瓶の蓋を叩きながら竜介が呟いた。


11.06.11