こんなに早く着くとは思わなかった…浮かれすぎ、だな。
腕時計を眺めて待ち合わせより随分早い時間を差す針を
再度確認する。

『デートしようよ』

わざとらしく”デート”なんて言葉を選んで誘った。
今までの”男女の付き合い”なんてものは自分から誘う事は無く
声を掛けられれば時間が許す限りは適当に楽しんでいたから
こんなにも必死に誘いを掛ける自分の姿を思うとなんだか滑稽だ。
いつもなら『ご飯行かない?』などと無難な言葉を選んで
彼に嫌われないように…そんな情け無い考えすら抱いている。
抱くこの思いが恋愛感情というものならば
確かにもどかしく、じれったい…反面、身体は無駄に正直だ。

春の陽気を映す大画面。
頭の中にあった計画がどうでもよくなるほど風に揺れる美しい桜
…彼と同じものをこの目に映したいと思った。
「…征哉、公園で散歩とか…好きかな?」
独り呟いて、思わず笑みが零れる
この世に生を受けて26年目の、桜が吹雪く様な人生の春。


12.02.24